四谷バルで蘇った伝説の店、四月一日とは

この日、珍しく四谷バルは荒木町の呑んべえたちでごった返していた。この日のお品書きは味噌漬けにした和牛のイチボ、シーザードレッシングと酢が隠し味のポテトサラダ、蒸しナスの自家製食べるラー油添え、濃厚半熟味玉子、ホタテの味噌漬け、納豆・じゃこ・ネギを包んだお揚げ、おでん、鳥手羽の炊き合わせなど。次から次へと出てくる見た目も綺麗なつまみの数々に酒も進む。手際よく料理を出しているのは見るからに職人の雰囲気をもつ一人の老人。



荒木町の伝説の店、四月一日

四月一日と書いて " わたぬき " と読む。店名の由来はオーナーの苗字から。10代で料理の道に入り、寿司屋、和食屋からサパークラブ、自衛隊の調理人など異色の経歴を経て、まだバブルの香残る荒木町に店をオープンした綿貫氏。酒のあてを作らせたら右に出るものはいない。数々の荒木町の酒飲みたちが彼の料理に魅了され、毎晩のように店に足を運び、朝まで酒に酔いしれた。業界人と坊主と寿司職人がカウンターを囲む、そんな店だった。そして、伝説の飲み屋として多くの常連に惜しまれながら2011年夏、18年の歴史に幕を閉じる。



伝説の店が四谷バルで蘇る

四月一日が閉店直後、綿貫氏の料理を愛した多くの常連たちが " わたロス " に陥る。彼の酒のあての数々をもう二度と味わうことはできないのであろうか。脳裏に残るあの強烈に美味い料理を食べたい。毎日とは言わない、せめて月に一度、店をやってはくれまいか。

そんな声を受け、綿貫氏にイベントをオファー。月に一度、四谷バルにて綿貫氏が料理を振る舞う「わたぬき亭」の開催が決定する。


わたぬき亭、その後

その後も何回かに渡ってわたぬき亭は開催。荒木町の呑んべいたちがこぞって訪れた。次の開催は未定だが、たまにふらっとやって来て、卵焼きや自慢の焼きそばなどをさっと作ってくれる綿貫氏。運が良ければ四谷バルで彼の作るつまみを堪能できるかもしれない。

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